カテゴリー: レンズ担当者のぼやき
1985年。
レンズ専業メーカーにとって、本当にビビった年でした。
M社さんのαショックってあったんですよ。
当時、画期的なAFシステムで、レンズに距離情報を組み込まないとAFは一切作動しないという、マニュアルレンズしか作っていなかったレンズ専業メーカーとしては、途方にくれてしまった瞬間でした。
また、2年遅れてC社さんのEOSシリーズの発売。 これは、レンズ内にフォーカス駆動モーター搭載と、絞りにはステッピングモーターを搭載して電子制御する、さらに複雑なシステムをもったAFシステムの発売で、もう無理って感じでしたね。
いま考えると、本当に当時の開発に携わった人達は大変だったと思います。
そんな中、やっとAFシステムの解析にある程度目途が立ち、機構設計も確立されトキナー独自のレンズ開発が可能となった時期です。
そして1988年、発売された機種が、AT-X270AF (28-70 F2.8)でした。
AT-X270AF (28-70 F2.8)
焦点距離・明るさ レンズ構成 画角 最短撮影距離 最小絞り フィルターサイズ 全長 最大径 重量 希望小売価格(税別)
28~70mm F2.8 12群16枚 75°20′ – 34°20′ 0.7m 22 72mm 90mm 76mm 600g ¥62,000
まだ他社は35-70 F2.8が主流の時代に28mmからスタートさせた画期的な大口径標準ズームです。
このレンズは完全なズームレンズ(現在はバリフォーカルズーム)として設計されています。光学性能は、手ごろな価格を求め、高価な非球面レンズは使用しないで、当時としては高い描写力を唄った機種でした。
AT-X270AF_lens
28mm側の性能は良好で、後にPROシリーズに発展していくトキナーにとっては大事な機種となります。 最短撮影距離も0.7mと、今のレンズと比較すると長いですよね。 でも、この当時はこれがスタンダードだったんですよ。
ここらあたりから、AT-X300(300mm F2.8)、AT-X400(400mmF5.6) AT-X828(80-200 F2.8)とマニュアルレンズ時代に一世を風靡した、トキナー商品群の中で、オリジナリティーのある機種を随時AF化して発売していきます。
PicTavernでAT-X270AF (28-70 F2.8)を使用している作品
桟橋の恋 by marvelous
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この記事の作者
Tokinaレンズ開発企画担当者(トキナレンズカイハツキカクタントウシャ)
トキナー製品の製品企画として、良いレンズとして、カメラ好きのお客様に喜んでもらうためには?
そんな事を考え、Tokinaレンズ開発企画を担当してまいりました。